[比較文化論的読書のすすめ]

齋藤史歌集 記憶の茂み.jpgのサムネール画像

国際コミュニケーション学科の三苫先生より比較文化論を学習するのにお薦めな一冊を紹介していただきました。

『齋藤史歌集 記憶の茂み[和英対訳]』

現代短歌の女王と呼ばれる斎藤史の深みと奥行きのある世界を、これまた英文5行詩に「詠み換える」という見事な日英のコラボレーションです。
比較文化論、翻訳論の視点からも興味深いものだと思いますが、斎藤史の秀歌700首を集めた本としても十分楽しむことができます。
 そのうちの一首に、羊歯の林に友ら倒れて幾世経ぬ視界を覆ふしだの葉の色という一首があり(漢字は旧漢字です)、子どもの頃山道で 腰まである羊歯の茂みを泳ぐように分け入ってみたことがあるのを 思い出しました。それと同時に「友ら倒れて幾世経ぬ」というのは さまざまな事件や歴史が古層のように堆積している感じがしてぞくっとしませんか?
 英訳は、 How many years passed since my friends and others fell
in the fern forest ―the sight is hidden from view by the colours of fern leaves.となります。ちょっと説明的な気もしますが、音読してみるとこれもまた良い味わいが感じられませんか? 

で、それはそれとして、本学の造形学部に林羊歯代(はやししだよ)というお名前の先生がいらっしゃるので、お名前はひょっとしたらこの歌にちなんでのものでしょうかと伺ってみましたが、そうではないとのことです。 でも、本書とこの歌の存在はご存知なかったそうで、たいそう気に入ってくれました。歌のイメージにぴったりなお名前ですが、幸せな偶然というものはあるものですね。
 皆さんもスクーリングで林先生にお会いになるようなことがあれば
話題にされてみてはいかがでしょうか。

 

2010年7月

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